ドールハウス【2025年】だれにもわたさない。映画鑑賞後にもう一度このキャッチコピーを噛み締めよう。

映画

評価・・・89点

キャッチコピー

だれにもわたさない

監督:矢口史靖

キャスト

  • アヤちゃん
  • 長澤まさみ(妻)
  • 瀬戸康史(夫)
  • 風吹ジュン(義母)
  • 田中哲司(呪禁師)
  • 安田顕(刑事)
  • 池村碧彩(まいちゃん)

感想(※以下、ネタバレあり)

Jホラーが大好きな皆さん、こんにちは。そして、Jホラーに裏切られ続けている皆さん、お元気ですか。

Jホラー黄金時代の終焉から早くも20年近くが経とうとしています。

同志の皆さん、お待たせしました。

「犬鳴村」でめまいを起こし、「それがいる森」で心臓に異変を感じ、「忌怪村」で脳に深刻なダメージを抱えた皆さん。それでも諦めることなく今日こそは今度こそはと劇場に通う皆さん。本当にお疲れ様でした。やっとJホラーの復活と言える作品がやってまいりました

近年ですと、白石晃士監督の「コワすぎ!」や「サユリ」などが我々を満足させてくれましたが、これらは白石ワールド全開のいわば超絶変化球。今作の「ドールハウス」はド直球の正統派Jホラーで、それでいて、Jホラー黄金時代の作品群に引けを取らない最高の作品です。

とにかく、最高でした

劇場にて鑑賞してまいりましたので、下記にレポートしてまいります。

鑑賞したのは、公開から3日目の日曜日の午前の回。8割ほどの入りでなかなかの盛況ぶり。中学生くらいのキャッキャキャッキャしている女子もかなりおり、「あれれ、お目当てのアイドルでも出てるのかな、やべえな、やべえな」と不安を抱えながらの幕開け。

これまでJホラーに裏切られ続けてきた私としては、ちょっとした異変もネガティブに捉えてしまうのです。

そんな私の不安を冒頭から吹き飛ばす、長澤まさみの絶叫。からのタイトル出し。幸せからの絶叫、で禍々しい素敵な物語の掴みとして最高のスタートです。

箇条書きにポイントを挙げていきます。

素晴らしい俳優陣と魅力的なキャラクター

とにかく、これに尽きます!私はホラー映画こそ、演技力が必要なのだ、ただキャーキャー叫んでりゃいいもんじゃねーぞと、事務所の都合で興味もないのにホラー映画に駆り出されたカワイコちゃんやイケメンくんに大人気なく青筋立てて牙をむくタイプ。そんな大人気ない私を沈黙させる素晴らしい演技でした。これは各俳優陣の演技力と監督のキャスティングの妙でありましょう。

おばあちゃん役の風吹ジュンの絶対の安定感、刑事役の安田さんのやられ役のチョイ役ながらきっちり爪痕を残す職人技、冷泉(ラミパス)も存在感ある呪禁師をさすがの演技でまとめ上げ、瀬戸康史も長澤まさみも初ホラーとは思えない熱演でした。あ、生臭坊主の今野もよかったなー。

はやりうまい!降霊、また観たいな
いい仕事!
冷泉ではないです。

走り出しは、長澤まさみのスタイルを見て「こんな美人のカーチャンいるか?主婦仲間から一人浮いちゃってるじゃねーか、なんか現実味がねーな、コスプレみたいだな」と否定的な気持ちで見ていましたが、洗濯機絶叫で一気に引き込まれました。最高です。

謎解きとサスペンスの要素で、知的好奇心がムクムク

私の大好物はホラーに謎解きの要素があるもの。リングのビデオに流れる方言から場所を特定していく展開、連鎖的に発生する怪異の源を各地の怪談を繋ぎ合わせて追い求めていく残穢、そして、もちろんノロイもCUREも大好きです。

今作もJホラーの伝統を受け継ぎ、人形の謎に迫ってまいります。主人公夫妻に謎を解かなければならない逼迫した理由がない点がやや気にはなりますが、それでも丁寧な脚本のおかげでスルーできる程度の違和感でした。

主人公達と自分をリンクさせながら新たな事実に興奮しながら、恐怖しながら、結末に辿り着くのは、ほんと快感です。それがバッドエンドだったとしても。いや、バッドエンドだからこその快感です。

鑑賞後にキャッチコピーの「だれにもわたさない」を噛み締めると格別な味を味わうことができるでしょう。

適度なジャンプスケアが気持ちいい

謎解きだけでは、やはり満足できません。適度なジャンプスケアはぜひ欲しい。といっても過度はダメ。Jホラーファンは欲張りなのです。あとモンスターがドーンもやはりダメ、ワビサビがないですから。

今作はその点をしっかり押さえ、適度な頻度と適度な表出でワビサビを持って我々を驚かせてくれ、大満足でした。

地味に嫌な恐怖シーンが素晴らしい

今作は血がドバーという展開はありませんが、地味にいやーな、性格のわるーい恐怖シーンがいくつもあります。冒頭の洗濯機のシーンもトラウマものですし、仮面を被った我が子をそうとは知らずにボコるシーンもこれまたトラウマもの。

それに長澤まさみの絶叫が重なるんですから、記憶に刻み込まれること請け合い。

ぜひ映画館の大画面で堪能していただきたい。

でも、エンディング曲が…

最後の最後まで満足、満足、大満足の正統派Jホラーでした。

私はエンディング曲とエンドロールを眺めながら、映画の余韻に浸り、劇場が明るくなってからのんびり立ち上がるタイプ。皆さんはいかがでしょうか?

素晴らしい映画のあとは、「こんないい映画を作ってくれてありがとう」という感謝の気持ちでエンドロールを眺め、クソな映画の際は「お前ら全員下痢になれ、あるいは、仕事で大きなミスをしろ」と呪いをかけながら眺めております。

そんな私からすると、今作のエンディング曲である「形(ずっと真夜中でいいのに。)」は、私のエンドロール活動には、合いませんでした

先週観たマキシーンのエンディング曲「ベディデイビスの瞳」はすごく心に刺さり、毎日聴きながら通勤していたぐらい。そこまでと言わないまでも、余韻を楽しませる楽曲を選んでいただきたかったところです。

この曲ならば、むしろ無音の方がエンドロール活動には向いていたと思われ、ひどく残念でした。

まとめ

今作は久々の待ちに待った正統派Jホラーの傑作です。

ホラーが好きな人も苦手な人も丁寧な脚本と役者陣の素晴らしい演技をぜひ堪能していただきたい。

この作品を通じて、Jホラーの素晴らしさを多くの人に知っていただきたいと切に願っております。

傑作です。

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