ノック終末の訪問者【2023年】完璧な導入とトホホな結末。それでも俺はシャマランが好きなんだよぉぉぉ!

映画

評価・・・77点

あらすじ

休暇を楽しむ家族のもとに訪問者が現れた!トントントントン。。。世界の滅亡について、お話したいので、この扉を開けてください。。。

監督:M・ナイト・シャマラン

キャスト

  • デイヴ・バウティスタ(4人組のリーダー)
  • ジョナサン・グロフ(エリック)
  • ベン・オルドリッジ(アンドリュー)
  • ニキ・アムカ=バード(4人組の看護婦)
  • ルパート・グリント(4人組のリーダーじゃないほうの男)
  • アビー・クイン(4人組の看護婦じゃないほうの女)

感想(※以下、ネタバレあり)

私はM・ナイト・シャマランが好きだ。大好きだ。

シックス・センスで衝撃を受けて以来、ずっと好きだ。M・ナイト。。。というなんか怪しげな名前も好きだし、その詐欺師っぽい風貌も好きだ。

すげえ作品をとりそうな風貌だ。

ある時は衝撃のラストで仰天させ、ある時はヒーロー物をこんな風に料理するんだ!と驚かせ、低予算でもそれを逆手に取ったPOV手法で観客を画面に釘付けにし、老化のスピードが異様に早い島の話といった興味津々のプロットを繰り出し続けている。

その一方で、見終わったあとに「あれれ???」となる作品も非常に多い。

さあ、今回のシャマランはどっちだ!?

冒頭からバッタのどアップ。

ヨハネの黙示録でもバッタが人々に襲いかかる記述があったはず。なんとも不気味な立ち上がり。シャマランらしい最高の立ち上がりだ。

さらに森の中から大男がコンニチハ!ボクタチ、トモダチ!とこれまたあり得ないシチュエーション。

さらに森の奥から、イカれた武器を持った三人組が出現。大男とデコボコトリオが集合して、おウチにイレテ!そうしないとセカイがハメツしちゃう!と大騒ぎ。

こいつらと対するのは白人ゲイカップルと中国系の養子の3人だ。

この物語はいったいどうなるんだろうと、観客全員が画面に釘付けになること必至だ

私もこの冒頭のシャマランワールドにどっぷりハマり、次はどうなるんだろう、この物語の結末はどうなっちゃうんだろうと血圧が急上昇したのだが、物語が進むにつれて、血圧も急降下。最後はえっと・・・?あれれ??となってしまった。

残念ながら、今回のシャマランは「あれれ??」のほうのシャマランであった。

シャマランを腐すのは気がとがめるが、「残念」な点をいくつか列挙していく。

世界滅亡の描き方がしょぼい

TVニュースで世界滅亡の序曲となりうる事件が映し出されるのだが、それがなんともしょぼい。大津波、パンデミック、連続飛行機事故と来るのだが、なんとも作り物めいていて薄っぺらくてしょぼい。100歩譲って、あえて薄っぺらくして4人組が作ったフェイク映像かもしれない、本当は終末など来ないのかもしれない、という効果を狙ったのかもしれないが、安っぽいなーという感想しか持てなかったので大失敗だ。

終末の描き方はハプニング(こちらの作品も賛否両論だ)の集団飛び降り自殺の方が100倍恐ろしく、絶望的だ。

4人組が嘘ついているように見えない

4人組は本当に終末のビジョンを見たのか?それともイカれた集団なのか?という密室劇がこの映画のキモだと思うのだが、どうしても4人組が嘘をついているようには見えず、さっさと信じてやれよ!と思ってしまった。そのため、緊迫感にかけ、テンポが悪く、まったりとした印象になってしまっている。

ラストになんもひねりがない

愛する人か世界か?という究極の選択という、手垢にまみれたプロットもなんだか拍子抜け。シャマランだからこれでは終わらないだろーと期待して待っていたが、そのまま終わってしまった。(といっても、これもシャマランらしいのだが・・・)

今回も大いなる肩透かしだ。もうね、肩が脱臼しそうな勢い。

まとめ

今作を見て改めて思うのだが、シャマランは別に我々を「大ドンデン返しで驚かしてやろう」、とはこれっぽっちも思っていない。我々ファンの無いものねだりだ。

彼の作品は一見スリラーやホラーにカテゴライズされるが、彼が描きたいのは一貫して愛だと思う。とくに家族愛だ。

今回もその観点から見れば、恐ろしい世界終末の描写や悲惨な最後を遂げる主人公たちなどには全く興味なく、ゲイカップルと養子の家族という一般的でない家族についての大いなる愛とその家族により救われる世界を描きたかったのだろう。彼からしたら一貫したテーマだ。

つまり、我々のように(映画のなかの)世界がどうなろうと知ったこっちゃねえ、(映画のなかの)家族が悲惨な目にあおうと知ったこっちゃねえ、とにかく刺激が欲しいんだよぉぉぉ!という刺激ジャンキーにはそもそも向かない監督なのかもしれない。

といっても、我々は公開されればシャマランを見に行く。いつものように刺激を求めて。

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