評価・・・30点
あらすじ
本や雑誌を作っているのは作家さんばかりでない、編集という裏方だって重要な役割なんだ。作家と編集と会社と本屋と書籍にまつわる様々な人々、様々な立場の人達のドタバタ劇。
監督:吉田大八
代表作は「桐島、部活やめるってよ」、「紙の月」、「羊の木」等
キャスト
大泉洋、松岡茉優、佐藤浩市
感想(※以下、ネタバレあり)
映画における映像と音楽の関係は、どうしても映像が主、音楽が従の関係にならざるを得ない。
主従の関係を飛び越えて、映像を実力以上に際立たせてしまう化け物のような映画音楽が時々出現する。
ジョーズが出現する際のあの不気味な曲、ここぞというときに流れ観客の血を沸騰させるロッキーのテーマ、映画冒頭の音楽一発で観客を映画の世界に引きずり込むスター・ウォーズのテーマ、マトリックスのエンディングで爆音で流れるレイジアゲインストザマシーンのかっこよさ!
しかし、思い返すにコミカルな映像にコミカルな音楽を重ねることで成功したケースというのはあっただろうか?僕の記憶にはない。今回みた「騙し絵の牙」はそれをおこない、そして失敗した残念なケースだ。
コミカルな場面で流れる音楽がとにかくダサい。「さあコミカルな場面が始まりますよー、わかってますかー」とでもいうように流れる。ダサい&鬱陶しい。そもそも大泉洋は「クスッ」とさせるのが得意な得難い俳優だ。ダサい音楽を流されると彼の持ち味がかき消されてしまう。イライラ。
それ以外にも緊迫感を出したいシーンで流される音楽も鬱陶しい。緊迫感は音楽でなく、あくまで役者の演技とカメラワークとカット割で表現すべきだ。チャカチャカと音楽が絶え間なく鳴るので、セリフがよく聞き取れない。イライラ。
変な音楽流さないで!いま面白い場面だから変な音楽やめてね!あーやっぱり変な音楽が来ちゃったかあ・・・と気が散って仕方がない。
変な音楽を流すくらいなら無音で大泉洋の会話劇だけを見せてくれたほうが、よほど誠実だったのではないだろうか?あるいは監督は「日本の観客はバカだから面白いシーンではオモシロ音楽、びっくりするシーンはビックリ音楽をかけないと響かないだろう」と思ったのだろうか?だとしたら、バカにするなと言いたい。
音楽のことばかり書いてしまったが、内容について触れると・・・
同じ編集者ものならば、松下奈緒と古田新太の「闇の伴走者」のほうが一枚も二枚も上手であった。なんなら、黒木華の「重版出来!」、いやなんなら釈由美子「秘密の花園」のほうが・・・ここまでにしておきます。