ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVOLUME3【2023年】喜怒哀楽のジェットコースター!最大級のありがとうを送りたい。

映画

評価・・・95点

あらすじ

宇宙一凶暴なアライグマを救うために、仲間たちが走る!戦う!シリーズ第3弾にして、完結編。

監督:ジェームズ・ガン

キャスト

  • クリス・プラット(ピーター・クイル)
  • デイヴ・バウティスタ(ドラッグス)
  • カレン・ギラン(ネビュラ)
  • ポム・クレメンティエフ(マンティス)
  • ゾーイ・サルダナ(ガモーラ)
  • ショーン・ガン(クラグリン)
  • ブラッドリー・クーパー(ロケット)
  • ヴィン・ディーゼル(グルート)

感想(※以下、ネタバレあり)

最近、気に食わない言葉がある。

エンドゲーム後のMCUが打ち出す新機軸。

そう、マルチバースだ!

死んだ奴を生き返らせるわ(別の世界では生きてました!ってやつね)、志茂田景樹ばりのトンデモ空想架空設定を披露するわで、観客の度肝を抜くことがトレンドになっている。もちろん度肝を抜かれるといっても悪い意味でだ。

マルチバースに不慣れなオールドファンは僕と同じような憎しみを抱いているだろう。

「もはや、なんでもアリだな…」と。

楽しみにしていたサムライミ版ドクターストレンジもスパイダーマンノーウェイホームも感じたのは、

「これが許されるなら、主要人物が突然死んでしまうという衝撃設定も、実はマルチバースでした、ベロベロバーで済んじゃうんだな、まさにクソだな」であった。

そんなわけで、もうMCUはいいや、エブエブもどうでもいいや、勝手にやってくれ、時代についていけない老害ジジイと呼んでくれ、もう僕をホットイテ!、という状態にあったため、好きなアントマンもパスした。

そんなネガティブで意固地で硬い殻を被った状態であったので、大好きなGotGの締めくくりでありながら、足取り重く映画館に向かった。

まず、結論から言おう。

最高だ!

涙あり、笑いあり、興奮あり、ハラハラドキドキ、ワクワクゲラゲラの最高のエンターテイメント!

マルチバースなどひとつも出てこないので、時代に乗れない老害ジジイも安心の親切設定。そして、マルチバース以上に広大なスケールの冒険活劇が繰り広げられるので、マルチバース好きの方々も問題なく興奮できる逸品だ。

良かった点を中心にネタバレ込みで挙げていくので、まだ見ていない方はすぐにブラウザを閉じて、映画館に走って欲しい。

真剣なパートとおふざけパートの配分が絶妙

真剣なパートが続くとダレる、飽きる。

おふざけが過ぎると感覚が麻痺してきて笑えなくなる。

人間とはとかく贅沢なものだ。

GotGではその配分が絶妙。ピーターの真剣な思い出語りがあったかと思うと、すぐにドラックスとマンティスの掛け合いがはじまり、続いて派手な戦闘シーンが始まる。そこでドキドキしたかと思ったらつかの間、ロケットの泣かせるシーンを畳み掛けてくるといった具合に、喜怒哀楽が揺さぶられ続ける。

ジェームズ・ガンは人間の感情を知り尽くしたかのようだ。彼の手のひらで転がされ続けるのだが、それがまた心地よいのだ。

多数の登場人物の整理が絶妙

第三作目となると馴染みの登場人物が増え、それぞれに固定ファンがついていると思われる。そこを配慮して全員の個性をしっかりと引き出しながら、それぞれの見せ場を作ってくれる。

それでいて、ぶつ切りのパッチワークにならずに物語としてシームレスにつながっていく。

また、敵と味方が混然となる戦闘シーンは、何が何だかわからなくなることが多いのだが、誰がどこにいて何をやっているのかをきちんと把握する卓越した空間マネージメントとさらにそれぞれの持ち味を活かしたバトルアクションをたくみに織り交ぜ、観客を置いてけぼりにしない優れたアクションシーンを見せてくれる。

音楽のセンスが絶妙

上記のようにカッコいい映像だけでも鳥肌ものだが、そこにセンスの良い抜群の音楽が被さるのだから、たまらない。

僕が特に好きなのは、仲間みんなで敵が待ち構えるところに突き進んでいく勇姿にビースティ・ボーイズの「ノー・スリープ・ティル・ブルックリン」がかかるところ!

そして、エンディングではVol.1の冒頭でかかったあの曲「Come and Get Your Love」が流れる!

観客はともにガーディアンズたちと歩んできた年月を思い出しながら、物語が終焉に向かう寂しさとともに、目頭が熱くなること請け合いだ。

ちょっと残念な点

ほぼパーフェクト、大満足な作品だったが、唯一文句をつけるならば、グルートの吹き替えセリフが「俺はグルート!」となっていたが、ストレートに「アイム・グルート!」のほうが良かったのではないか?(よって、「私はグルート!」も、「僕はグルート!」も却下)といっても、これは個人的な好みの問題でもあるので、欠点とはいえないかもしれない。

まとめ

今回のテーマは、「ありのままの自分を受け入れる」ことであった。

これまでは「俺をアライグマって呼ぶんじゃね!!」とキレるロケットが、実験動物であった過去、踏み台に過ぎなかった過去、そこから逃げることをやめて立ち向かうことを選び、すべてを受け入れて「俺はロケット・ラクーンだ!!」と叫ぶシーンは感動的だ。

傑作とされる映画は観客の心に、人生になんらかの影響を与える。

僕らもいつか「俺は〇〇だ!」と叫ぶことができるだろうか?

そのためには、ロケットのように、過去の自分と向き合い、やり残した過去を精算しなければならない。

そう、この映画は僕らの心になんらかの変化をもたらした。

そう、つまり傑作である。

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