エターナルズ【2021年】アベンジャーズをスケールアップして、薄味にした作品

映画

評価・・・40点

あらすじ

はるか大昔から人類を悪から守るため、そして人類を発展させるため、不死身のエターナルズがこの星を守ってきた!彼らは役目を終えて穏やかな日々を過ごしていたのだが、悪が復活した。再び立ち上がるエターナルズ!再び集結したエターナルズ!

監督:クロエ・ジャオ

ノマドランド【2021年】でゴールデングローブ賞を受賞

キャスト

ジェンマ・チャン、リチャード・マッデン、マ・ドンソク、アンジェリーナ・ジョリー

感想(※以下、ネタバレあり)

前回レビューしたシャンチーと同じく、新たなMCUシリーズを彩るヒーローの登場だ。しかもエターナル「ズ」と複数形。アベンジャーズみたいな感じかなと思いつつ、トレーラーも事前情報も全くなしで、鑑賞。

アベンジャーズよりも壮大で、アベンジャーズよりも強力(目からビームがでるよ)で、アベンジャーズよりも長生き(なんせ7千年だ)で、アベンジャーズよりもポリコレに配慮して、アンジェリーナジョリーも出てるし、監督もノマドランドで注目ののってる人だし、これで面白くないはずがない。だろ?

残念ながら、全くもって面白くなかった。

味のない具がもりもりになった薄っすい味のアベンジャーズといったところ。

超人をいっぱい出して、さあ、どうだ、面白かろう!と言われてもなー。そんなに単純じゃないんだよ、映画ファンは。

ヒーローがいっぱい出てれば喜ぶわけじゃないんだよ。

美女がいっぱい出てれば出てれば喜ぶわけじゃないんだよ。

ポリコレに配慮していれば、「大変だねえ」、「時代だねえ」とは思うが、それで喜ぶわけじゃないんだよ。

そもそもヒーローがたくさん出すぎて、まったくもって感情移入ができない。感情移入できないどころか印象が薄すぎて、「えっと、あんた誰?」状態。うわ、登場人物が死んだ!ところで誰だっけ??

記憶に残る前に死んでりゃ世話ない。つか、不死身にジャネーノ??

アンジェリーナジョリーの無駄遣い、マドンソクの無駄遣い。そういう意味では贅沢極まりない豪華な作品だ。

そしてまた、こいつらの話が長い!

7千年もの歴史を2時間数分に収めようとするのだから、映像で語るのでなく、説明口調のセリフで語る場面が多くなる。まあわかるよ、それは。でも、そんな事情は我々観客には関係のないことだ。こいつら話なげーなー、まるでうちの会社の働かないおじさんの雑談級になげーなー、ああ明日も会社がめんどくせーなー、と映画に没頭するばかりか、無味乾燥な日常の引力のほうが強い始末。

アベンジャーズでも議論している場面があるにはあるが、スタークの嫌味なセリフやそれに応じるキャプテンの迷惑なまでの頑迷さなどがストーリー展開に意味あるものとなり、またそれらがスパイスとなり引き込まれる場面となっていた。エターナルズが永遠議論しているさなか、僕はときたら、「こういう場面でスタークはどんな嫌味をいうのかな?」、「そういやキャプテンは頑固だったな、あいつカーターとうまくやっているんだろうか?」と過去作品のに思いを馳せる始末。過去作品の思い出のほうが引力が強いってどうよ?

話の長いヒーローばかりで、しかも途中で誰か死んで、ひとりひとりがどんな奴かさっぱりわからない状態でのエンドロール。

あ、この人はLGBTの人だ、あ、この人は手話の人だ、と薄いキャラクター造形をポリコレ配慮で補っていたのは皮肉だ。むしろポリコレ配慮と見せかけてのキャラクター作り?あるいはポリコレにも配慮できるし、登場人物の印象付けにも役立つよね、一石二鳥だよねという大人の事情?これらの僕の邪推が当たっているとしたら、非常に不誠実な作品といえる。

ラストの落ちでも、それを見ながら、ああ、こんな話たしか前にも見たな、そうそう、プロメテウスだ。あの映画は賛否両論あったなあ、しかし僕は好きだよ、もう一度見ようかな、とプロメテウスの引力に引かれたので、これからプロメテウスを見ます。

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