シャン・チー/テン・リングスの伝説【2021年】プロジェクトAとネバーエンディングストーリーを足して5で割った映画

映画

評価・・・55点

あらすじ

サンフランシスコで普通に暮らすショーンには隠された過去があった。父はあの悪の組織テンリングスのリーダーだったのだ!その騒動に巻き込まれた友人のケイティとともに舞台をマカオへと移し、テンリングスとの戦いが今始まる!

監督:デスティン・ダニエル・クレットン

キャスト

シム・リウ、オークワフィナ、トニー・レオン

感想(※以下、ネタバレあり)

エンドゲームという大団円を迎え、一区切りがついてしまった感のあるMCUシリーズ。その後、スパイダーマン・ファーフロムホーム、ブラックウィドウと公開が続き、楽しんで観ることができた。しかし、これらはインフィニティサーガの残り香のようなものであり、誤解を恐れずに言えば、素敵なオマケだ。

つまり、今回レビューする「シャンチー」が、実質的な新たな物語、新たな冒険への始まりである。

ワクワクするだろ?

このワクワクで膨らんだ気持ちは、だいたい10本のうち7本はシオシオに萎む結果となるのが常であり、その結果、悔しんだり、憤ったりするのもまた映画鑑賞の良いところである。

さあ、今回のワクワクはどうなるか、そのまま膨らんで僕を魅惑の映画世界へと連れて行ってくれるのか、はたまたシオシオに萎れて、睡魔という魔物に飲み込まれてしまうのか…

さあ、シャンチーはどっちか!

残念!!映画開始15分でシオシオだ。

アジア人がカンフー?よし、本物のカンフーを見せてもらおうじゃないか!アジア人がディズニーという大資本でカンフー映画??最高じゃないか!これまでの低予算で作られたカンフー映画を軽く超えてくるんだろうな?
等々のいくつもの高く大きなハードルがそびえ立つのは仕方がない。

マトリックスにしろ、チャーリーズエンジェルにしろ、あるいはガンカタにしろ、カンフーの要素を上手に取り入れて、それを独自のものに昇華したところに面白さがあった。

残念ながらこのシャンチーには、新しさに対するチャレンジ精神も、古きものを大事にしつつも現代風に再構築するという努力もなにも垣間見えない。

なんだこれ、古臭いカンフー映画を間違って観せられているのか?なんだこれ、プロジェクトAの出来損ないを間違って観せられているのか?と何度も首を傾げた次第。

グランドマスターの八卦掌の美しさ、カンフーハッスルの古典の再解釈、イップマンの手技のリアルさ、少林サッカーのユーモア、それらを超えるものを大資本を使って見せてくれると期待してしまったのがそもそも間違いだ、無い物ねだりだと言われれば、謝らざるを得ない。

カンフー映画には往々にして現実的でない動きがあるため、観客を没頭させるには、さまざまな工夫が必要だ。だって拳銃使えば済んじゃうからね。

舞台を拳銃が手に入りにくい時代にしたり、拳法家同士のプライドをかけた対決にしたり、変わり種ではサッカーを舞台にしたものもあった。

そのような苦心された工夫がシャンチーにあったかというと皆無だ。素晴らしいアクションではあるが、「なんでピストル使わんの?」という疑念が沸き起こり、そのたびに現実に引き戻される。

終盤に龍が出てきて、がおーって…お金かけるところ、そこ???とゲンナリ。

よかったのは、スピードのモノマネみたいな緊迫感のないバスシーンでも、またこれかよ感のある親子対決でも、ましてや龍が出てきてガオーでもなく、シャンチーの父と母の出会いのシーン。2人の美しさと強さが、説得力のある動きで表現され、むしろこのテイストで1時間半ぐらいやって欲しかった。

ボロクソに書いたが、テンリングスを使ったアクションは今までにないカンフーアクションであるのは間違い無いので、テンリングスを承継しそれを駆使した主人公が暴れ回るであろう次回作を期待している。

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