評価・・・83点
胸焼け覚悟で堪能せよ!
あらすじ
サイコパスがヤクザと出会った。ヤクザは誓った「絶対にゆるさねえ」。刑事はサイコパスを追う。「絶対に捕まえてみせる」と。サイコパスとヤクザと刑事。危険なケミストリー。筋肉とナイフと疾走。むさ苦しくてなにが悪い。ぶっ刺して何が悪い。ぶん殴って何が悪い。危険なケミストリーはどのような結末を迎えるのか・・・
監督・キャスト
監督:イ・ウォンテ
これが監督デビュー作というわけではないが、とくに情報がない。この作品で注目されたようだ。次回作が楽しみな監督のひとり。
キャスト
マ・ドンソク(筋肉担当)
新感染でみんなの心を鷲掴みにしたナイスガイ
キム・ムヨル(熱血担当)
マ・ドンソクにすべて持っていかれないよう肉体改造して本作に挑んだ
キム・ソンギュ(サイコパス担当)
この作品で初めて知った。Netflixドラマ「キングタム」にも出演している
感想(※以下、ネタバレあり)
後ろからわざとオカマを掘り、車から降りてきた運転手をぶっ刺す、理由はない、ぶっ刺したいから何度も何度もぶっ刺すサイコパス。
賄賂にも出世にも目もくれず、悪いやつは許さねえという熱血デカ。
そして組織のボスらしき筋肉ムキムキのヤクザ。
この3人が流れるように登場し、なるほど彼ら3人が絡んでいく映画なんだな、面白そうだと期待感を煽る。圧巻はヤクザの登場シーンだ。
筋肉ムキムキのヤクザがサンドバックを殴る!殴る!!殴る!!!左右にサイドステップしながら殴る!!!サンドバックの中には敵のヤクザが押し込まれていた。当然血まみれだ。サイコーじゃない?
筋肉ムキムキのヤクザが敵のヤクザと対峙。殴るのか?頭突きか?それとも投げ飛ばすのか?いや違う。その圧倒的握力で歯をむしり取る!いいですか?力任せに歯をむしりとるんですよ?サイコーじゃない??
そんなムキムキヤクザが乗った車がオカマを掘られる。あれ、この展開ってもしかして・・・ムキムキヤクザとサイコパスの不幸にして最高の出会いだ。興奮以外のなにものでもないでしょう!
いろいろあって、ムキムキヤクザと熱血刑事が手を組んでサイコパスを追う展開になるのだが、その過程で憎み合ってた二人にほのかな交流が生まれる。ムキムキヤクザが雨のなか傘をもたない少女に傘を譲ってあげたのをみた熱血刑事が「おい、こいつはヤクザなんだぞ、知らない人から物をもらっちゃだめだ!」と説教すると「あんたのほうがヤクザみたいよ」と言われたり、ヤクザチームと刑事チームの合同飲み会のシーン(このシーン好きだ)では、熱血の部下の下っ端刑事が「おまえ、ヤクザのほうがむいてるんじゃないか」と言われたりと水と油と思われていたヤクザと刑事の境界がぼやけていく。
そう、両者は立場は違えど熱い男たち。一皮むけばただの熱い男たち。その根底には同じものが流れている。
また、ムキムキと熱血に負けず劣らずサイコパスも圧巻の存在感。通りすがりのおじさん、老人、ムキムキヤクザ、少女とその殺傷対象に差別はない。平等にぶっ刺す。躊躇なくぶっ刺す。
終盤、裁判所のシーンは正直蛇足かな・・・嫌な予感するなぁと思って観ていたが、そんな心配は御無用。サイコパスと同じ刑務所に収監されるムキムキヤクザの最高の笑顔ですべてを吹き飛ばす。こんな素敵な笑顔は久しぶりに見た。
基本的に女性は出てこず、むさ苦しい男たちとサイコパスの追いかけっこという濃厚スープの豚骨ラーメンのような映画なのだが、非常に堪能した。
ぜひ、気持ちいい胸焼けをあなたにも堪能してもらいたい。