評価・・・85点
あらすじ
300年前のアメリカ大陸に奴がやってきた!人間とプレデターとの初対決の物語。今回プレデターと対決するのは、ネイティブ・アメリカンの少女。タイトルのプレイは遊びのPlayでも、祈りのPrayでもない。獲物のPreyだ!プレデターシリーズ第5作。
監督:ダン・トラクテンバーグ
10 クローバーフィールド・レーンほか
キャスト
ナル(アンバー・ミッドサンダー)
タアベ(ダコタ・ビーバース)
感想(※以下、ネタバレあり)
人気シリーズにありがちなのは、それらの最新作を見ても「まあまあ、面白かったけど。。。でもファーストには及ばないよね。。。」という感想を繰り返すことが多い。
ランボー、ターミネーター、エイリアン、ロッキー、インディ・ジョーンズ、スター・ウォーズと例をあげればキリがない。(いちおう付け加えておくが、ターミネーター2は個人的にはファーストを超えていると思う)
今作も、「まあ」プレデターだし、「まあ」Disney+で無料だし、期待はしないが、「まあ」観てみるか。。。と「まあまあ」づくしで鑑賞を始めた方が多かったのではないだろうか?
まさしく、僕がそのくちだ。
仕事で理不尽な扱いを受けたこともあり、週末の唯一の楽しみである映画鑑賞も気が進まない、そんな休日の昼下がりに、Disney+で独占配信開始!との情報。映画を観ること自体気が進まないが、まあプレデターだし、大外れはなかろう、ボーっと流し見するか。。。と軽い気持ちで視聴開始。
まず、冒頭5分で一気に引き込まれた。ここで正座だ。
壮大な自然とそのなかでネイティブ・アメリカンの少女が狩りをするシーン。その映像が美しいだけでなく、少女の「狩り」のシーンを丁寧に描くことで、これから始まるであろうプレデターの残忍な「狩り」を想像させる。また、少女の戦闘能力をここで提示することで、少女とプレデターのこれから始まるであろう「戦い」へと期待が膨らむ仕掛けとなっている。
この間、くどいセリフはいっさいなしだ。
映像を楽しませながら、観客の期待を煽っていく仕掛けとなっており、非常に素晴らしい。
少女が犬と森に出かけてから、クマとの戦いを経て、プレデターと初遭遇するまでは一切のセリフがなく、それが独特の緊張感を生んでいた。(説明口調の棒読みセリフを連発する邦画制作陣よ、とくと見よ)
クマって怖いね、自然って偉大だね、人間の小賢しい知恵などなんの役にも立たないよね。。。と思った瞬間、プレデター登場だ!ひゅー!かっこいい!!
クマにはとうてい敵わない、人間にはどだい無理や。。。と思わせるそのクマを一撃だ!そして仁王立ちだ!返り血を浴びて浮かび上がるプレデターのシルエット!ひゅー!最高
そして、なんといってもプレデターには森が似合う!!
都市でもなく、宇宙でもなく、森が似合う!!!大興奮だ。正座だ。
その後、プレデター、白人入植者集団、コマンチ族と三つ巴の戦いとなっていくのだが、凡庸なアクションがただ垂れ流されるだけでなく、プレデターにはプレデターの戦い方、白人入植者には彼らなりの戦い方、コマンチ族にはコマンチ族の戦い方、そして少女には彼女オリジナルの戦い方が繰り出されていき、それらを対比的に描くことで、観客を飽きさせない。
戦いを通して少女は成長するのだが、少女は女になったのでなく、正真正銘の戦士となった。最後の戦いの前に少女が儀式として顔にペイントを施していくのだが、それが誠に美しくカッコいいのだ。
こんな美しいヒロインがいただろうか?
最後は部族に認められ、女性ながらリーダーに抜擢されるというハッピーエンドを迎えるのだが、歴史にあるとおり、ネイティブ・アメリカンは白人入植者たちとの熾烈な戦いに入っていくことを僕たちは知っている。それゆえに、この物語が単なるハッピーエンドではないことを頭の片隅に置きながら、このラストシーンを観るので、深い余韻に浸れるのだ。
そして、エンドロールで明かされる「プレデターとの戦いは終わっていない、そう始まったばかりだ・・・」というのも余韻があっていい!
まとめ
ディズニーはマーベルシリーズではエターナルズのようなポリコレ満載の駄作を作り、スター・ウォーズシリーズでは新三部作でスター・ウォーズファンの精神を破壊した。そのような前科があるので、今回のプレデターシリーズ最新作についても、女性が主人公と聞き、どうせ女性の時代を高らかに叫ぶ全方向に忖度した駄作なんだろうと疑っていたが、いい意味で騙されました。
ファーストからのプレデターファンもプレデターを見たことがない人も、男性にも女性にも、ぜひ見ていただきたい傑作。おすすめです。