るろうに剣心 最終章 The Final【2021年】日本版アベンジャーズになり損ねた残念な作品

映画

評価・・・55点

あらすじ

しばしの平和を満喫する剣心たち。この平和がずっと続けばいいねと思っていたのだが、謎の男が不穏な動き。警官たちと大立ち回りを繰り広げた男が一言、「剣心の頬にはまだ傷はあるのかい?」と。どうやら彼は剣心と浅からぬ関係がありそうだが・・・

監督:大友啓史

キャスト

佐藤健、武井咲、新田真剣佑ほか

感想(※以下、ネタバレあり)

るろ剣はハリウッドのように予算をかけられない邦画が、そのハリウッドにけっして引けをとらない娯楽大作が作れることを見せてくれた我々日本人の希望だ。それもチャンバラという日本独自の方法によって。

また、血が出過ぎないところも逆刃刀を使うということで説得感があり、納得感がある。

まさに、大人も子供も楽しめる娯楽大作だ。

前作の藤原竜也が怪演した志々雄との戦いで出し尽くした感、やり切った感があったのだが、今回は最終章ファイナル、さらに僕の好きな神木隆之介扮する宗次郎も出るとあっては、見ねばなるまい!

さすがるろ剣!アクションが素晴らしい!時々これ見よがしなワイヤーアクションが垣間見えて、思わず「ふるっ!チャーリーズエンジェルかよ!」と心のなかで叫んでしまったが、それもご愛嬌。練られた殺陣、演者たちの努力、スピーディな展開は見ていて飽きることはなかった。

だが、しかし。たが、しかしなのだ。

なぜか映画の途中で何度もあくびが出てしまう。映画に没頭できない。前のめりになれない。なんならスマホでもいじりたくなる。

そう、圧倒的にカタルシスが足りないのだ。

周囲の人たちが自分のせいで傷つけられていく中で、追い詰められた剣心が因縁の相手(さらにかつて愛した女性の弟でもある)に対してどのように落とし前をつけるのか、その落とし前は因縁の相手を止めるだけでなく、その因縁をも祓わなければならないという、なかなか重いテーマがあるのだが、その部分がまったく響いてこない。
アクションシーンとドラマシーンにつながりがなくぶつ切りになってしまっているのだ。

素晴らしいアクションシーンで盛り上がる→チープなドラマシーンでどっちらけ→落ちた気持ちをアクションシーンで盛り上げて→盛り上がり切らないところで、臭いドラマシーンで再びどっちらけ(以下繰り返し)

何度かこのループを繰り返したのちに気持ちが盛り上がる前に映画が終わってしまった。

武井咲の役割はいったいなんだったのだろう?好きな男が過去に愛し、そして死んでしまった女に対する気持ち、それは嫉妬なのか…それとも同じ男を愛したという親近感なのか…そういった複雑な感情が全く表現されていない。ただ終始ポカンとしているだけ。

また、弟の縁を演じた新田真剣佑もひどい。殺された姉を思い出すシーンで、頭を抱えて「うわーー!!」って…そんな奴いる?例え漫画が原作だとしても、漫画的表現を持ち込む必要あるのかな?原作と違う表現をしてもよかったのではないか?

アクションシーンでも不満な点がある。神木隆之介の宗次郎、江口洋介の斎藤一、土屋太鳳の操、伊瀬谷友介の蒼紫など、オールスターキャストだ。過去に敵だった者たちが力をあわせて強大な敵にぶつかっていくっていう展開は僕達の大好物のはずだろ?それがそれぞれの見せ場をつくるためか、一体感がなくなんかぶつ切り。各種ヒーローのオムニバスのような見せ方になっている。それぞれのファンのために十分な見せ場を用意したいという無駄なサービス精神が悪いほうに作用し、日本版アベンジャーズになり損ねてしまった。

アクションシーンの無駄なサービス精神をカットし、さらにドラマ部分はすっぱりカットしてアクションシーン8割の90分くらいでスッキリまとめた方が作品としては成功したのではないだろうか?

アクションシーンが素晴らしいだけに、非常に残念な作品であった。

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