評価・・・84点
キャッチコピー
スターになるの
監督:タイ・ウェスト
キャスト
- ミア・ゴス(マキシーン)
- エリザベス・デビッキ(ベス監督)
- ケヴィン・ベーコン(探偵)
- ジャンカルロ・エスポジート(事務所の社長)
感想(※以下、ネタバレあり)
米国公開から遅れること約1年。やっと公開されました。今年一番楽しみにしていた作品かもしれません。さっそく公開2日目の土曜日に行って参りました。
20名前後と寂しい客入り。シリーズ3部作のラストで、さらにホラーということで敷居が高かったのだろうと思われます。
いきなり、まとめ的な話になってしまいますが、この作品は、包装紙はホラーなれど、その中身はミアゴスの魅力満載の強くてクールでキュートでカッコいい最高の映画でした。
でも3部作のトリなんでしょ、1作目2作目をわざわざ観てからじゃないとダメなのはだるいなぁ、と躊躇されている方。ご安心を。この作品だけで充分楽しめます。むしろ1作目2作目を観ることで、先入観や固定観念に絡まれて、この作品を正しく楽しむことが難しくなるかもしれません。
実際、私も冒頭のオーディションシーンを見て、パールのそれと重ね合わせ、狂ったオーディションが始まるのでは?と誤った期待をしてしまいました。
なんなら記憶を全て消して、マキシーン(第3作)→エックス(第1作)→パール(第2作)の順番で観てみたいものです。
ホラーはやっぱり苦手なのよね…という女性のみなさん。ご安心を。この作品のホラー演出はあくまでミアゴスのカッコよさを際立たせるためのスパイスに過ぎません。
さらに、彼女に痛い目に遭わされるのは、ロクでもない男たちばかり。安心してご堪能ください。

いやいやそうは言っても、3部作のラストから観るのは邪道だ、いやいやなんだかんだいってホラーなんでしょ騙されないぞという強固な意思をお持ちのみなさんは、冒頭のオーディションを終えて颯爽と歩くマキシーンを、車で走り去りオープニングタイトルが出るまでの数分間を観ていただきたい。騙されたと思って。きっと目が離せなくなるはず。

実際私はこの場面で鳥肌が立ちっぱなしでした。そこからエンドロールの「ベティ・デイヴィスの瞳」まで画面に釘付け。
時代設定を80年代にしたことで生まれたいい味のB級感とレトロ感が相まった画面がこれまたオシャレで、目が離せません。

ありったけの才能とふんだんな予算と溢れ出る情熱を余すことなく注ぎ込んで、80年代のB級ホラーをクソかっこいいクールな作品に仕上げてきたのは、さすがはタイウェスト、NEXTタランティーノと目されるだけはあります。

最後に、ちょっとだけ苦言を。
やっぱり、ストーリーの唐突感や脚本のアラが気になります。カタルシスも少し足りない。終盤のショットガンで頭をぶち抜くシーンで、我々を血とカタルシスまみれにしてくれたら、どんなによかったか。
パールの「いずれお前は私のようになる」という呪いの言葉もなんのその。マキシーンは頂点を目指す。これはパールの物語でなく、マキシーンの物語だ!と思慮の浅い私にもわかるように、もっとシンプルにぶち上げてくれたら、どんなによかったか。
きっとタランティーノのデスプルーフ級の超絶映画になったことでしょう。
まとめ
この作品はとにかく、強くてクールでキュートでカッコいいイカした映画です。
シリーズ初見の方もホラー苦手な方も当然シリーズを網羅している方も、ぜひ劇場の大画面で、ミアゴスを堪能してください。
おすすめです。