評価・・・95点
あらすじ
傷ついたマッコールさんのたどり着いた先はイタリアの田舎町。そこでしばしの休息を取るが、どこにでもクズはいる。マッコールさんの狩りが始まる。シリーズ3作目にして最終章。
監督:アントワーン・フークワ
前2作に引き続きメガホンを取る。
キャスト
- デンゼル・ワシントン(ロバート・マッコール)
- ダコタ・ファニング(CIA捜査官)
- レモ・ジローネ(医師)
- エウジェニオ・マストランドレア(警察官)
- ガイア・スコデッラーロ(カフェの女主人)
感想(※以下、ネタバレあり)
まず最初に言っておく。
この映画は最高だ!
あまりにも良すぎてラストシーンでは泣いてしまった。
あまりにも最高すぎて、2日連続で観てしまった。
そして2回目もやはり泣いてしまった。
今年観たなかでは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3に匹敵する作品だ。
まだ観ていない方は、すぐにこのブログを閉じて、すぐに劇場に向かって欲しい。
下記に私の思う「良かった点」を列記しておくので、見終わったら戻ってきて確認してください。
アクションが秀逸
イコライザーはジョン・ウィックとよく比較される。同時期にスタートし、ともに似たようなモチーフ。見た目はただのオッチャンだが、実はめちゃくちゃ強い!といういわゆるナーメテーター系だからだ。しかし、それぞれがシリーズを重ねていく過程で別々の進化を遂げた。
ジョン・ウィックのアクションはアイデア満載の乱れ打ち、いわば高級ホテルでの豪華料理の食べ放題とすると、イコライザーは最高級の寿司屋を貸し切りにして食べる「選び抜かれた極上の6貫」といえる。
寿司の数は6貫と少ないが、なんせ1貫1貫が極上なのだから涙がでるほどしびれるのだ。
マッコール大将から、ここぞという最高のタイミングで提供される最高の寿司を味わっていただきたい。
しびれる名言がぞくぞく
マッコールさんはこれまで数々の名言を生み出してきた。私のお気に入りはイコライザー2で出た「1回しか殺せないのが残念だ」です。
今回、特に気に入ったのは「俺はこの街とここに住む人たちが気に入り始めている。だから他所でやってくれ」というもの。文字にするとなんてことはないのだが、スクリーンのなかでマッコールさんがいうと「お前をコロす」の意だ。
このセリフが深いのは、「お前を簡単にコロせるのだが、できればコロしたくない、だからどうか他所やめてくれ」という絶対の自信とクズにもかける少しの優しさを同時に表現しているところだ。
こんなセリフがいえる漢になりたいものだ。
また、医者がマッコールさんに問いかける。
「お前はいい人間か、悪い人間か?」と。
それに対する回答は「わからない」だ。
勧善懲悪のマッコールさんが悪い人間のわけがないのだが、問いかけられた瞬間に、彼の胸にはこれまで葬ってきたクズどもの断末魔が、亡き妻との思い出が、任務で命を落とした同僚の無念が、去来したことを我々は知っている。
我々は知っている。この「わからない」には深い意味があることを。彼が天使でもあり悪魔でもあることを。
「わからない」と答えたマッコールさんに対し、医者はこう返す。
「良い人間はみな、そう言う」
このセリフもかっこいい!
こんな掛け合いができるジジイを目指したい。
巧みな脚本
冒頭のアクションシーンでは、「盗られたものを取り返しにきた」と謎かけ。
中盤では「なぜ電話番号がわかったの?」と尋ねるCIA女性捜査官には、「電話帳でみた」と謎かけ。
ラスト近くでは「彼は友達なの?」と尋ねるCIA女性捜査官に、「リフト(タクシー)に乗せた」と謎かけ。
そしてそれらが1本の線で結ばれる。
くどくどした説明ゼリフはいっさいない。すべてを映像でみせていく。
「リフト(タクシー)に乗せた」というセリフひとつあれば、なにがあったのか映像にしたら15分くらいの物語が観客の頭にすっと浮かぶことがきちんと計算されている。くどくど見せられるより、いっそう感動が生まれるうまい仕掛けだ。
そして流れるような展開と要所要所で提供される極上の寿司(アクション)。これはたまらない。最高すぎる。
そして感動の結末
家を売りに出す老夫婦。そこにお金を届けるCIA女性捜査官。引っ越さなくていいんだと泣き崩れる老夫婦。ここで、ひと泣き。
マッコールさんから送られてきた黒い手帳に貼られた付箋には「お母さんも君を誇りに思っているだろう」とのメッセージ。そしてカメラは彼女のデスクに飾られたスーザンの写真。ここで、ふた泣き。
そして、いまもイタリアのカフェにいるマッコールさんが写る。町はお祭り騒ぎだ。マッコールさんもニコニコ顔でお祭りに参加しようと席を立つ。
カフェの女店主が声をかける。
「忘れ物よ!」
彼女の手にはマッコールさんのあのスプーンが。。。
ここで大泣きだ。
彼はやっと呪縛から解放されたのだ。やっと安住の地を見つけたのだ。
まとめ
イコライザー3はシリーズ最終章となった。改めて全三作を通してみると1本筋の通った物語であったことがわかる。
傷つき年老いた戦士が良き人々との交流することで癒されながら、彼らを救うことで自らを救い、そして安住の地を見つける物語だ。
続けようと思えばいくらでも続けられる題材だし、正直もっと観たいのだが、ここでファイナルでいいと私は思う。マッコールさんには穏やかな老後を過ごして欲しいと切に願っているからだ。
そして私は年に一度はマッコールさんに会いにイコライザー3部作を通しで見ることが習慣となることだろう。