ビバ!社訓唱和記念日!

仕事
China: Enthusiastic 'Red Guards' wave copies of Mao Zedong's 'Little Red Book' (Quotations from Chairman Mao Tse-tung, Mao Zhuxi Yulu), Beijing, c. 1966. (Photo by: Pictures from History/Universal Images Group via Getty Images)

コロナの熱狂も過ぎ去り、世界は完全に日常を取り戻した。電車のなかでは、飲み会で痛飲した泥酔サラリーマンを見かけることも多くなったし、大きなスーツケースを引きずる訪日外国人も多くみかけるようになった。酒にも興味はないし、浅草で大量の外国人を見るとゲンナリするのだが、まあそれで経済がまわるのならば、けっこうなことだ。

それは、まあ良しとしよう。

問題は弊社にも日常が戻ってきたことだ。

そう、コロナ騒動で完全消滅したと思われたアレが戻ってきた。

そう、朝礼での社訓の唱和だ!

アレがさらにバージョンアップをして息を吹き返しやがったのです。

コロナ騒動をこれ幸いと停止し、騒動が終結した今となっても復活させずにうやむやになっていたのだが、それに敏感に反応した会長が大激怒。

おつむの回転と反射神経については、かなりスローになったモウロクジジイだが、下僕たちが手を抜く気配については、まことにもっと敏感である。

「変化させるべきものがある、しかし、守り続けなければならないものもある」

と、なんだかカッコいい感じの通達が発せられて、朝礼での社訓唱和が大々的に復活することになった。

さらに、長期にわたり社訓がないがしろにされてきた状況を鑑み、今後は「銘板」を社訓唱和時のみならず、勤務時間中は携帯せよ、とのことになった。

「銘板」とは弊社の構成員でなければ、わからないと思うが、社訓が印字された小さな手帳サイズのアクリル板のことである。(その昔はステンレスの板だったそうだ)

創業当初の気持ちを思い出すために、朝礼時に背筋をピンとのばした姿勢で、「銘板」を高らかに掲げて社訓の唱和をすることになった。

なんらかの宗教か独裁国家のような異様な風景が朝から繰り広げられるのである。

白黒写真でしか見たことないが、文化大革命時の毛沢東語(ちっさい手帳みたいなやつ)を振りかざす紅衛兵のよう。

端的に言って「クソ」である。

さらにだ。密告も大復活だ。(これも文化大革命チックだ)

クソな会社にはそれに完全適合したクソな社員が跋扈するのは、みなさん経験としておわかりであろう。まあ、そうしなければ、まとまな精神状態を保てないのは理解できる。

とにかく、クソ会社仕様に完全カスタマイズされ完全適合したクソ社員たちの密告が大復活を遂げたのだ。

「あいつは社訓唱和のときに唱和しないで突っ立ているだけだ」

「あいつは社訓唱和のときにポケットに手を突っ込んでいた」

まあ、ここまでは前回もあった密告例なので、想定の範囲だ。

「あいつは銘板を片手でもって唱和していた」

「あいつは銘板を持つ手が曲がっている」

「あいつは銘板を掲げる位置が低いので、首が曲がっている」

「あいつは・・・」(以下多数)

社訓唱和がバージョンアップして復活したのと同じく、密告社会もバージョンアップ。改めていう、端的にいってクソである。

しかしだ。面白いことに最初に音を上げたのは、密告をされる我々下々のものでなく、総務部・人事部そして役員たちだ。

戦中の日本で鬼の特高警察を悩ましたのは、一般市民からの「あいつは非国民だ」という善意ある密告だったという。(確かにいちいち取り上げてたら仕事にならないものね)

弊社の大本営が頭をひねりにひねった末に出した結論とは、なんと「社訓唱和マニュアル」を作成し全社員はそれに従わせることであった。

さらに、「社訓の正しい唱和の仕方」というDVDも配られるそうだ。

今日の夕方、全社員を大会議室に集めて、大々的にマニュアルとDVDが配布されるとともに、「最終決定版:正しい社訓の唱和の仕方」のレクチャーがなされる。今日は弊社の歴史的な一日となるだろう。ビバ!正しい社訓の日だ。アホくさ。

同じく中途組の彼(こちらを参照:社訓という洗脳装置からの脱出方法について)も辞めちゃったし、そろそろ、私も潮時かな。このままいけば、豊田商事のオイショオイショまで突き進むのも時間の問題だしね。

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