コロナによる社内軋轢について

仕事

今回のコロナ騒動が世界を揺るがし、色々なものが炙り出され、様々な軋轢を生んでいる。

インテリどもの「ダイバーシティ、多様性、ヨーロッパバンザイ!」というお説教は、現地での東洋人に対する苛烈な差別が散見されたことにより、やっぱり「おままごと」だったかと多くの人々を落胆させた。

心の奥底に隠しに隠してきた差別心を剥き出しにするは、むしろコロナの蔓延を防ぐ妙薬だったのかと奴らは膝をポンと打ったことだろう。

このコロナ騒動がどこまで続くのかは知らない。長引けば長引くほど白人世界と有色人種の世界の溝は深まっていくことは確実だ。コロナ後の世界でも溝は埋まらないだろう。分断されたまま世界は進んでいくのだ。

アメリカでは「外出自粛?コロナなんてジジイどもの病気だろ?俺には関係ねえぜ!さぁハバパーリー!」と若者たちが集団でどんちゃん騒ぎ。コロナのことをブーマーリムーバー(団塊世代除去剤)と呼んで茶化す始末。彼らからしたら、このクソみたいな格差社会を作り上げて、のうのうとしているジジイどもを血祭りにあげたいという鬱積した思いがあったのだろう。

また、アメリカのスーパーで買い物しているのは買い物代行のスタッフ達だ。金持ち達は外に出るのを嫌がり、危険な業務を貧乏人に押し付ける。金持ち達はソファでくつろぎ、貧乏人は命懸け。見えているようで見えなかったクソのような状況にコロナはスポットライトをあてた。

民族間の対立。世代間の対立。所得階層間の対立。上と下。横と横。色の違い。抜き差しならない軋轢があぶり出された。

コロナが収束したからといって、もとどおり手をつないで頑張ろーとなるだろうか?

まあ、ないだろうな・・・

おっと、なんだかグローバルなバカでかい話になってしまったが、そんなことより、弊社にもコロナによりあぶり出された軋轢があることをお話したい。

まずはシンママから

小学校が休校になりはじめた頃、社内がざわざわした。

シンママ社員達が窮地に立たされたからだ。本来はここでテレワークの導入!ということになればよかったのだが、とかくケチな弊社の場合、財務担当役員の「そもそもコロナが長く続くとは思えない。少数のシンママ社員のために高価なテレワークシステムなど必要ない!」との鶴の一声でご破算となった。

しかし、さすがにシンママ社員に通常通り勤務せよというのは酷な話だ、ということになり、機材もシステムもルールも教育も何もない状態で彼女達のみにテレワークを許可することとなった。

情報漏えいが怖いのでPCの持ち出しは禁止。当然社内ネットワークへのアクセスも禁止。特別なテレワークシステムもない・・・・。ないないづくしのがんじがらめのテレワーク導入である。

できることといえば、電話での簡単な問い合わせ対応ぐらい。そう、それはテレワークという名の自宅待機である。

こうして「なんちゃってテレワーク」が、ひっそりと開始された。

シンママあらためママにも適用

それから数日後、ある部署の女性社員数名が団体で上司を取り囲み「シンママだけをえこひいきするのは納得いきません!私達だって子供がいるんです!」とねじ込んだ。

「いやいや子供といったって、アンタのとこは大学生じゃない。小さい子供をかかえるシンママと一緒にはできないんじゃ・・・」と部長はおどおど。

「いまの大学生は精神年齢が低いんですよ?子供みたいなものです」

部長「・・・」

「旦那の協力が得られなくて困っている女性社員は多んです。日頃から家事に仕事にと大変なんです。そもそもこのような男性中心の社会にしたのは(略)」

部長「・・・」

そんなこんなで、なんちゃってテレワークはシンママ社員から「子供のいるママさん社員」へと範囲が拡大された。

ママだけじゃないんだよ

シンママだけでひっそり始まったなんちゃってテレワークはママにまで拡大されたという情報は、あっという間に本社の全女性社員に広がった。

そして当然起こるべきことが起こった。

「彼女達がやっている仕事と私のやっている仕事は同じですよ?彼女達がテレワークが可能ならば、私にもテレワークを適用してください!」(正論)

「結婚していることがそんなに偉いんですか?ハラスメントですか?差別ですか?」(脅迫)

「私だって子供がほしかった」(泣き落とし)

そして本社の全女性社員がその対象となった。

なんなら僕も、ついでにワシも

本社に残ったのは、野郎ばかりだ。上層部もほっと一息ついたのかもしれない。女はうるさいのう、困ったもんじゃ。。。ぐらいに思っていたのかもしれない。

そんなむさ苦しい職場から、新たな革命の火がくすぶり始めた。

「同期の女性社員から聞きました。僕は彼女達よりPCが得意です。つまりテレワークに向いてるのは僕ですよ」(20代男性社員)

「そもそも普段から会社の基幹システムなんか使ってないし、インターネッツさえあれば調査の仕事(?)は家でもできますし・・・」(50代仕事しないおじさん)

「このような不測の事態においては、全国民がワンチームになって対応すべきです、私もテレワークを取り入れることで微力ながらコロナ蔓延阻止に貢献したいと存じます」(30代男性社員)

みなコロナが怖い、子供が大変、三密反対、アベが言ってた、ユリコが言ってた、と口々にいいながらも、その本心は

「楽して金が欲しいんじゃ」
「あいつが吸ってる甘い汁をこっちにも寄越せ」

・・・ということ以外になにもない。

私にも、僕にも、ワシにも「テレワーク!」というが、「なんちゃってテレワーク」であることには誰も言及しないのだ。

こうしてさらに多くの社員が姿を消した。

工場の不満爆発

地方にある工場はコロナもくそも関係なく24時間ぶん回っている。製造業で働いた経験がある人なら納得してもらえると思うが、基本的に工場と営業は仲が悪い。製販一体になって頑張ろうーという言葉があるのは、その現実が真逆だからだ。

そんな彼らが本社に電話をかけてきて「いやー、彼はテレワークでいないんですわ」と答えようものなら、不満爆発である。

お前らが暖かいビルのなかでぬくぬく仕事しているときに、俺らは工場でヒイヒイ頑張ってる、それだけでも胸糞悪いのに、この期に及んでは、会社にも来ずに家で坂上忍だとバイキングだと!!許せぬ!!!(悪い妄想)

不満爆発である。

それでも回る、会社は回る

弊社はこの状況においても運良く業績はまずまずだ。つまり仕事は減っていない。しかし、なんちゃってテレワークにより人は大幅に減った。

本社に残されたのは30代から40代の男性社員のみだ。

僕たちの仕事は、朝来たら、まずなんちゃってテレワーカーたちのメールを開き、緊急の要件がないかの確認をおこなう。彼ら関連で増えた業務は山のようだが、ここでは省略する。

当然、毎晩残業である。

普段あまりしゃべらない者同士も、普段仲の悪い部署間も、お互いが協力しあうことで、なんだか不思議な団結感が生まれてきた。普段はいがみ合う工場とも・・・だ。

そして同時にこんな気持が芽生えてきた。

「そもそも、あいつらなんかいなくても、なんとか会社は回るんじゃねーか?」

コロナにより弊社に生じた軋轢は、僕らの心に強く刻まれ、「俺らは戦士、あいつらは違う」という感情をもう消すことはできない。

どうすればよかったのか?

弊社の社内軋轢の発生はなんちゃってテレワークを導入したことが最大の原因である。その導入がまさか全社に広がるとは思ってもみなかった役員たちの浅はかさも罪深い。

しかし、いまさら言っても詮無いこと。

ここで強く提言したい。

コロナ蔓延のなか、しなやかに戦い続ける企業戦士に対して、1日1万円程度の特別危険手当を支給してはどうだろうか?

多少の社内軋轢は緩和されるだろう。

ぜひご検討願いたい。(いまからでも遅くないです)

タイトルとURLをコピーしました