コロナのせいで水漏れ修理が進まない

僕が住んでいるアパートは古く、いろいろガタがきている。

数日前から怪しかった風呂場の蛇口がとうとうバカになり、たらたらと水が漏れるようになった。

困ったことがあれば管理会社に電話すればいいだけなので、賃貸はまことに気楽である。事は水回りに関することなので、すぐに電話した。

「コロナウイルス蔓延防止に関する緊急事態宣言が・・・」との機械的なアナウンスが・・・・・・。

簡単にいうと、社員のほとんどが在宅勤務でいないから電話では受け付けない、自分でホームページを調べてメールせよ、なんせコロナで大変なんだから多目にみろよ、とのことだ。

在宅勤務といえど、電話ぐらい転送で受けることができるのではないか?との気持ちも湧いてきたが、なんせコロナで大変な時期であるから、そのへんはお互い様だ。ホームページを調べて、「水が漏れているから、業者を派遣して修理していただきたい」とメールを送った。

それから、3日たっても何の連絡もない。

リモートだろうが在宅だろうが、それこそ家だろうがオフィスだろうがメールを受信して、適切な業者に修理を依頼することぐらい難しくないのではないか?と不満ではあったが、なんせコロナで大変な時期であるからな。従業員の健康を守ることも企業として大事だからな。平時でないので我慢だ。お互い様だ。

それから、2日たっても何も連絡がない。

その間も蛇口からはポタポタ。

僕の送ったメールが届いていないということもあるので、再度送信。件名に[至急!]とつけた。

それが効いたのか、1時間ほどして修理会社から直接連絡がきて、昨晩ようやく修理が完了した。

修理会社から夜遅くに汚い我が家に来てくれたのは、僕と同じくらいの中年男性。コロナで大変な時期にこんな遅くにやってきてくれて、まことに頭の下がる思いだ。

どうも、ぽたぽた蛇口は見かけによらず重症のようで、総とっかえが必要とのこと。総とっかえの場合は依頼主の管理会社に許可を取ってからでないと先に進められないらしい。これから管理会社とやり取りするので、少々待っていただきたいとのことだった。

聞くでもなく、修理マンの電話での会話が聞こえてきた。

「管理会社に何度も連絡してるんですが、ぜんぜん繋がらないんですよ、どうすればいいですか、困りますよ!」(どうも管理会社とのやりとりでなく、自分の上司との会話のようだ。それにしてもクソッタレ管理会社だな)

「そんなこといったって、お客さんが困ってるんですから・・・私は現場にいるんですよ!」(事件は会議室でおこっているんじゃない、現場でおこっているんだ、的な雰囲気。いいね!)

「そもそもあの管理会社、お客さんからのメールをそのままFAXしてきて、それでおしまいっておかしくないですか?」(え・・・!)

修理マンとその上司のやりとりを聞いていて、最初はクソッタレ管理会社だなと修理マンに同情したのだが、なんとなく状況が見えてきた。

クソッタレ管理会社では従業員のほとんどが在宅勤務、それも単なる自宅待機という「なんちゃって在宅勤務」となり、一部の社員だけが生贄のごとく出勤し、アナログでヒイヒイいいながら無理やり業務を回しているのではないか?しかも普段は現場中心の中年男性達が事務所に集めれ、生贄となっているのではないか?その証拠に僕が送ったメールを「そのまま」印刷して、おそらく手書きで指示を書いて、修理会社にFAXしている。不慣れな業務にいっぱいいっぱいになっている哀れなおじさん達が右往左往している姿が目に浮かぶ。

そんな妄想をしているうちに、修理マンが声をかけてきた。

「修理終わりました。管理会社と連絡がとれないので、現場の独断ですが、総とっかえさせていただきました!」

管理会社でひいひい言ってるおじさん、コロナなんて関係なく現場で汗を流す修理マン、そして「なんちゃって在宅勤務」のあおりを受けて朝から晩までこき使われている僕。なんとなく魂の連帯を感じてしまった。

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