さんかく窓の外側は夜【2021年】

映画

評価・・・80点

あらすじ

見えちゃいけないものが見える僕が見えちゃいけないものを祓う彼と出会った!オカルトコンビが連続殺人事件を追う。そこに不思議少女がからんできて・・・

監督:森ガキ侑大

キャスト

岡田将生、志尊淳、平手友梨奈、滝藤賢一ほか

感想(※以下、ネタバレあり)

寄り添い合うイケメン二人が全面にドーン、その背後には美少女アイドルがドーンのポスターを見て、僕の心はズーン。これは僕が観るべき映画じゃないな・・・と、そっぽを向いていたが、食わず嫌いはいけないと鑑賞。これが予想を反しての拾い物、否、大当たりであった。

霊感青年を演じた志尊淳が抜群の演技力。物語的に霊感コンビの岡田将生と志尊淳が中心の絵が多くなるのだが、この二人が似たような方向のイケメンだからか、画面にメリハリがない。しかし、そこにまったく方向の違う滝藤賢一を配することで、画面に締まりが出て、観客を集中させることに成功している。(半沢直樹で夜に知られることとなった滝沢の役名が「半澤」というのは偶然か?)

志尊の劣らず、平手友梨奈も圧倒的な存在感と華。平手と志尊の二人が初めて同じ画面に収まったときのピーンと張り詰めたような緊迫感があり、当然監督の手腕もさることながら、この二人の若い才能が為せる技であろう。

志尊、平手の二人と比べると志尊、岡田の二人の画は上述したとおりノッペリとしている。同じ方向のイケメンだからか?と思ったが、もしかすると志尊、平手の二人に比べると岡田の能力、演技力が劣っているせいなのかもしれない。岡田の代わりに別の俳優を配したほうがよかったのかも・・・

ざらりとした映像で嫌な雰囲気を出しながら、テンポよく場面を切り替えることで、緊張感を維持しながら、とかく退屈になりがちな登場人物紹介ターンや舞台設定紹介ターンをこなしつつ、このあとどうなっちゃうんだろう・・・と観客を物語に引き込む仕掛けがうまくいっている。

また、102分という短い尺ながらも、志尊、岡田、平手のそれぞれの立場や心境をうまく表現し、前半のざらりとした映像と後半の光をうまく使った映像を切り替えることで説明的なセリフを使うことなく、全体のトーンをまとめたのは監督の手腕によるところだろう。

力のせいで母を殺してしまった氷川、自分の身代わりに母が死んでしまったことで力を得たエリカ、自分の力を持て余すも最後に母の理解を得た三角といった境遇の異なるも同じような力をもつ三人がひかれあっていく様が、どうしても尺が短いせいか表現しきれていないところや筒井道隆演じる「先生」はどうなったのか?あの教団は最終的に目的はなんだったのか?などの謎がそのまま残される消化不良感を差し引いても、日本映画界の若き才能を堪能できる映画である。

監督含めキャスト陣の今後の活躍が楽しみな、邦画もまだまだ捨てたものじゃないなと希望をもたせてくれる作品である。

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