オクス駅お化け【2023年】Jホラーの衰退の原因を我々に突きつける問題作(かな?)

映画

評価・・・40点

あらすじ

バズり記事をなんとかものにしたいWEBニュース記者がオクス駅での人身事故を取材。取材を続けるうちに、記者は恐ろしい体験をすることになる。記者はさらなるバズりを求めて、怪異を追うが。。。

監督:チョン・ヨンギ

キャスト

  • キム・ボラ(女性記者)
  • キム・ジェヒョン(アルバイト駅員)
  • シン・ソユル(被害者の妹)

感想(※以下、ネタバレあり)

Jホラーの衰退はジャニーズ等のアイドルを使わざるを得ない邦画の悪しき習慣が主たる原因だと思っていた。いや、それは正確じゃないな。「そうに違いない」と自分に言い聞かせてきた。

「村シリーズ」でげんなりし、「それがいる森」で打ちのめされ、「忌界島」で怒りに震え、「ミンナのウタ」で絶望した私としては、「Jホラーは終わった」と嘆きながらも、心のどこかでジャニーズや乃木坂ばかり起用するからJホラーはクソなんじゃないか?もう一度、柳ユーレイを起用して本気でやれば復活するんじゃないか?そうだ、Jホラーがクソなのではなく、ジャニーズがクソなんだ!と「ジャニーズ諸悪の根源説」を陰謀論者の如く信じていた。

そんな私にとって、リングや呪怨に関わってきた髙橋洋にJホラー最後の希望の白石晃士が関わり、実力ある韓国俳優を揃えて、本気のホラーが公開される!となったら、見ないわけにはいかない。

ある意味、陰謀論者たる私の答え合わせ的映画である。

残念ながら、Jホラーの新たな分水嶺にもなりうると期待した「オスク駅お化け」はダメダメな映画で、私の信じた「陰謀論」は幻に過ぎなかった。ジャニ男もアキバも関係ない、Jホラー製作陣がダメダメなのだと突きつけられ、意味背筋が凍るほどの絶望を味わった。

以上で映画の感想は終わりであるが、いちおう何がダメだったのかを記録しておく。

WEBライターがなんとか記事をバズらせるべく駆け回り、怪異のおかげもあり、ものの見事にバズるのだが、このパートがものすごく弱い。ここは、バズっていく高揚感を登場人物と観客が共有することで物語に没入させるべきなのだ。バズっても、当の主人公がまったく興奮しなければ、我々観客が興奮できるわけがなかろう。しらけるだけだ。

さらに、バズりによる怪異の変化や怪異の謎解明のヒントの表出といった新たな展開がまるでなく、ただただ退屈な絵日記のような展開が続く。ダメダメだ。

メインともいえる怪異の造形が古臭い。子供を怪異の中心にするのは、高等技術が必要だが、それがことごとく欠けている。シャイニングの双子の子供が怖いのは、その見てくれが怖いのではない、観客の不安を掻き立てる存在だから怖いのだ。この映画では怖い顔の子供を出せば、観客は怖がるだろ?という観客を舐めた安直な態度が透けて見える。ダメダメだ。

こりゃダメだな、この映画は、早く終わらねえかなとだらけてきたところに新展開!なんと怪異に数字を言わせれば、命が助かる、その呪いを相手に承継させられる!という新展開が盛り込まれた。今までのダメダメ展開はフリで、もしかしてここからが本題か!?知恵比べの始まりか!?とワクワク。

1人目は、相手に嘘の電話番号を復唱させることで見事に呪いの番号を言わせてサバイブ。よし、ジャブとしてはいいぞ!

2人目は、呪いの番号を言わないとぶっ殺すぞ!と脅してサバイブ。ええっっ!知恵比べは??

そして、最後は、主人公を首にしたい社長に対して「この番号を言えば会社を辞めてあげるわよ」とオファー。あんた、私にここからいなくなって欲しいんでしょ?さあ、この番号を言えば退職届を出してあげるわよ。はい!引っかかったー!ざまあ!知恵と勇気のある主人公が最後は悪徳社長を懲らしめてメデタシメデタシ。。。

なめてんのかーーーー!

とにかく、この映画は脚本がとっ散らかっているのだ。記事のバズり(高揚感なし)、怪異の出現(怖くない)、怪異の謎の解明(大した謎でもない)、怪異から逃れるための方法(バカバカしい)、社長との確執(薄っぺらくて意味不明)、事件を隠蔽せんとする社長の動機(しょうもない)、無駄に存在感のある妹と霊媒師(この二人はもったいなかった)。すべてがバラバラでとっ散らかっている。すべてが薄っぺらい。

この映画でもっとも恐ろしいのは、このクソのような脚本はJホラーの主要メンバーである髙橋洋によるものであるということだ。

まとめ

繰り返しになるが、私の「ジャニーズ陰謀論」は、もろくも崩れ去った。

Jホラーの衰退はジャニーズのせいではなく、キーマン達の才能が枯渇しただけだ。

しかし、だ。彼らが挑戦する心を失っただけで、我々Jホラーファンはまだまだ死んじゃいない。コワ過ぎの最新作にだって、ちゃんとファンがたくさん集まったじゃないか。

清水、中田、高橋といった昔の名前が一掃され、新たな才能が現れるその日がくることを信じて、我々は映画館に通い続けるだろう。

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