評価・・・37点
キャッチコピー
鈴が鳴れば、それは居る
監督:キム・ソンシク
キャスト
- カン・ドンウォン(祓える人)
- イ・ソム(視える人)
- ホ・ジュノ(敵のおっさん)
感想(※以下、ネタバレあり)
突然ですが、みなさんは映画チラシ(フライヤー)はお好きですか?
私は期待に胸を膨らませて映画の上映開始を待ちながら、映画チラシコーナーをツラツラ眺めるのがけっこう好きです。
金曜日の夜、いつものように映画館にてチラシコーナーを物色していたところ、ピン!とアンテナが反応するチラシを発見いたしました。
「鈴が鳴れば、それは居る」
「霊は視えないが呪具を操る唯一の祈祷師」
「少女に取り憑いた強大な悪鬼を祓えるか」
なにこれ、私の好みにドストライクやないの!と血圧を跳ね上げさせながら、チラシを凝視すると、「韓国発〈新感覚〉憑依ホラー」とある。
秀逸モキュメンタリーの「コンジアム」、國村準の半ケツが眩しい「コクソン」、超弩級の恐怖を与えてくれた「女神の継承」と韓国ホラーには傑作が多く、私も大好きです。
しかし、韓国ホラーならばなんでも面白いと思うのも認知の歪み。「オクス駅お化け」など期待外れのズッコケ案件があることもまた事実。
一瞬、嫌な予感がよぎったものの、ここまで好条件を並べられて、手を出さないわけにはまいりません。
もちろん、公開初日に映画館に駆けつけました。
結論としては、「コンジアム」のような快感ジャンプスケアもなく、「コクソン」のような絡みあった謎に観客が絡め取られるような没入感もなく、「女神の継承」のような非現実が現実を侵食するかのようなヒリヒリ感もない、どちらかといえばズッコケ案件でした。
そもそもチラシにあるような「憑依ホラー」ではありません。
この世のものにあらざるものが取り憑き、目的も理由もわからず、取り憑かれたものが弱り疲弊し、周りのものは現代科学がまったく歯が立たないことを知り、そして絶望する…というのを「憑依」という単語から想像してしまうのですが、今作は敵の目的もはっきりしているし、なんか力技だしで、恐怖感ゼロ。大した強敵感もなく、アサルトライフルがあれば私でも何とかなりそう。
実際はいろいろな理屈があり、素人の私がアサルトライフルを持ったとしても歯が立たないという建て付けなんでしょうが、観客に「俺でも何とかなりそう…」と思わせちゃうところが、ズッコケなんですよね。
さらに残念なのが、ワイヤーアクション。憑依された人間に殴られて、ピョーンと派手に飛ばされて…えっと、これ怖い?まじで、恐怖感じる?
派手にビヨーンと飛ばなくても、静かに目から流れる血をスローモーションで映してくれた方がよっぽど怖いんですけど。
あと、ド派手なVFX、あれももどうなの?エレクトリカルパレードみたい。そういえば、若かりし頃、当時付き合い始めたばかりの彼女(現在の妻)とディズニーランドで大喧嘩したことを思い出して、嫌な汗をかいちゃったじゃないですか。そういう意味ではトラウマ級の恐怖を感じました。
あと、視えないけど祓える者と、視えるけどなにもできない者が足りない部分を補うだけでなくコンビを組むことでむしろ最強になる的なカタルシスもないし、主人公の覚醒も中途半端だしで、アクション映画と評価したとしても微妙なものでした。
まとめ
本作は看板に偽りあり。
ホラーのエッセンスを少し取り入れたダークファンタジーですが、それにしても薄っぺらい。
チラシ90点、内容20点の私には合わない映画でした。
ただし、全く怖くないので、ホラーが嫌いな人でも大丈夫というのが唯一の利点かな。
まあ、時間が有り余った方は配信を待ってご鑑賞ください。